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理事長ご挨拶

学会ホームページにアクセスしてくださった皆様へ

 日本保険学会は、保険に関する研究と保険研究者相互の協力を促進し、かつ、国内外の関係学会、関係団体との連絡および交流を図ることを目的として、1940年(昭和15年)に設立されており、2015年には創立75周年を迎えました。もっとも日本保険学会の前身は1895年(明治28年)に設立された「保険学会」であり、その機関誌「保険学雑誌」は、「保険学会」が同年9月に刊行を開始した「月刊保険雑誌」をルーツとしており、2015年は記念すべき雑誌創刊120周年の年でもあります。

 このように、2015年は保険学会にとって記念すべき各種の事業が行われる年になります。そのような中で、日本の社会科学系学術研究学会の中でも、最も古い歴史と伝統を誇る学会の1つである日本保険学会の理事長に選任されましたことは、身に余る光栄でありますが、同時に責任の重さに身の引き締まる思いがしております。

 理事、評議員、監事そして会員の皆様方の温かいご支援とご協力のもと、誠心誠意、学会運営に務める所存でございます。

 日本に保険が紹介されてから約150年、日本で最初の保険会社が設立されてから約130年が経過しました。現在の日本社会は、当時の日本とは全く違う姿になっており、保険に対する企業や人々のニーズも大きく変わってきています。さらに、当時は考えることもできなかった新たなリスクが出現し、日本社会の抱える問題も変容してきました。
 地震列島日本に住む私たちにとって、中南海トラフ地震や関東大地震の問題は、発生するかしないかではなく、何時発生するかというレベルに来ており、東日本大震災における教訓を生かした対応が急がれております。また、地球温暖化のように地球規模で対応しなければならない課題も出現しています。
 これらの課題の多くが、保険による対応と結びつくものであり、特に少子化、高齢化時代における年金制度の行方は、公保険と私保険との役割分担の問題へと展開し、日本の政策と直結しています。このように、保険に対する社会的意義や関心はますます高まり、日本保険学会の研究活動とその成果への期待も拡大してきております。

 日本保険学会が行っている活動は、主に①大会と部会活動、②保険学雑誌の発行、③海外交流、の3つに分類されます。

 大会は、毎年10月に開催される全国規模の活動であり、個別報告、共通論題、そしてシンポジウムがその柱となります。大会企画委員会のプログラムによって内容や構成が異なりますが、国内外から講師をお招きし、記念講演や招待講演などが行われることもあります。シンポジウムや共通論題では、東日本大震災など、保険の直面している課題が取り上げられ、大学研究者のみならず、実務家を含めて日本の保険学の先端的な議論が交わされています。

 部会は、関東ブロック、関西ブロックそして九州ブロックの3つのブロックに分かれた活動であり、それぞれの地区において年2回から4回、報告会が開催されております。また、ブロック単位でシンポジウムを開催する場合もあります。部会報告は、いわば若手研究者の登竜門であり、ブロックでの研究報告を行い、諸先生方と議論を交わして研究内容を一層練磨し、さらに10月の大会における報告へとつなげるという道筋を、これまで多くの研究者が辿ってまいりました。

 保険学雑誌は、大会、部会と同様に保険学会の学問的水準を表すものであり、主として大会や部会での報告が論文の形となって掲載されます。保険学雑誌では、レフェリー制(査読制)が導入されており、質の維持に努めています。若手研究者や大学院生にとって、査読制の有る雑誌への論文掲載が認められることは、研究レベルの高い評価と業績の積み上げにつながります。また、特集企画は、保険をめぐる経済や社会の動向を取り上げたもので、各界の保険学雑誌への興味を高めると同時に、本誌の価値をさらに高めるものといえます。

 日本保険学会は、韓国保険学会と定期的な交流を続けてきており、毎年、双方の大会に報告者を派遣しております。2014年には、新たな試みとして韓国の保険関連の4学会の夏季大会へ報告者を派遣し、共通テーマである「保険詐欺」についての報告を行いました。また、APRIA(アジア太平洋リスク保険学会)やAIDA(世界保険法学会)へは理事を派遣しており、特に若手研究者の海外の学会における報告や海外の学術雑誌への投稿なども積極的に進めております。

  日本保険学会における議論の特徴は、大学研究者と保険実務家の協力によって醸成される、実務を十分に理解した上での理論展開にあります。単なる空理空論ではなく、現実性をも考慮した理論の構築は、日本保険学会における学問的水準の世界的な評価につながっていると理解しています。これからも、学会活動を展開してゆく中で、保険実務家の方々とも学問的な関心を共有しながら、時機に応じたテーマを積極的に取り上げて、学会のさらなる発展に向けて努力する所存です。

  皆様方のご支援とご協力をあらためてお願い申し上げる次第です。

理事長 福田 弥夫(日本大学教授)