当学会が加盟している国際保険法学会(Association Internationale de Droit des Assurances、AIDA)の米国支部が主催する「2026年保険法フォーラム:グローバルな視点」が下記の通り開催されます。ご関心ある方は参加をご検討ください。詳細および原文はリンク先をご確認ください。参加登録はこちらから。なお、参加料(USD400)は当学会の国際交流補助金の対象となります。
記(参考訳)
「2026年保険法フォーラム:グローバルな視点」は、米国および世界各国から第一線の研究者、保険業界の専門家、実務家弁護士を招き、保険法の将来を形作る国内外の動向について検討する。
本フォーラムは、Duke University School of LawおよびJB Duke Hotelにて開催される初のプログラムであり、世界の保険市場に影響を及ぼす新興課題を取り上げ、有意義な対話を促進し、法曹界・学界・保険業界間の連携を強化することを目的とする。
日時:2026年3月12日~13日
場所:ノースカロライナ州ダーラム
会場:Duke University School of Law / JB Duke Hotel
登録リンク:https://forms.gle/P1HTi5ebJmZnCyfW9
本フォーラムに関するお問い合わせは、AIDA U.S.コミュニケーションズ・ディレクターのジェシカ・デュブロック(jdubrock@nicolaidesllp.com)まで。
プログラム概要
2026年3月11日(水)歓迎レセプション
3月12日(木)新興リスク、保険商品、および提起される課題
『新興リスク:地政学が生み出す新たな投資環境』
国際秩序を支えてきた柱は、いまや揺らぎつつある。関税措置は貿易構造を再編し、武力紛争は各地で激化している。欧州は経済的停滞に直面し、人口動態の変化は従来の権力構造を揺るがしており、さらに人工知能(AI)は急速に新たな世界秩序を形成しつつある。本討議では、このように変容した地政学的環境が保険セクターにいかなる影響を及ぼすのかを検討するとともに、それが成長およびイノベーションにとっていかなる新たな機会を創出し得るのかについて考察する。
『信用・M&A・政治リスク』
変動的かつ予測困難なグローバル市場は、海外市場または事業環境が厳しい市場において事業を行う、あるいはそれらの市場に依存する企業に対し、さまざまなリスクをもたらしている。具体的には、買主の不払い、政府による不利な措置や政治的不安定、収用、通貨問題、契約違反、さらには政治的暴力に起因する財務上の損失などが含まれる。本討議では、これらのリスクの内容を検討するとともに、それらに対応することを目的として設計された信用保険および政治リスク保険商品の性質および補償範囲、ならびに関連する法的問題について考察する。
『パラメトリック保険』
パラメトリック保険は、従来の損害填補型補償とは異なり、損害査定後に支払われるのではなく、降雨量や地震動の強さといった、あらかじめ定められた客観的かつ測定可能なトリガーに達した場合に保険金を支払う仕組みを採用するものである。この設計により、迅速な保険金支払、取引コストの低減、ならびにより明確なリスク価格設定が可能となる。欧州においては、パラメトリック保険は、とりわけ気候関連リスクに対する政策的・市場的対応として顕著に拡大している。公的災害補償制度を補完する手段として、農業のレジリエンスを支える仕組みとして、さらには極端気象からインフラや自治体を保護する手段として、利用が拡大している。欧州における実務は、密度の高い規制環境、公民連携(PPP)、および国境を越えたリスクプーリングの枠組みによって形成されている。また、「パラメトリック保険はそもそも保険といえるのか」「どの規制枠組みが適用されるのか」といった問題も提起されてきたが、欧州においては一定の解答が示されている。そのため、欧州の経験は、気候変動適応、保険イノベーション、ならびにリスク移転における国家の役割の変容に関心を有する研究者および実務家にとって、有益な比較対象事例となっている。
『ロシア航空機リース関連保険請求』
本プログラムは、ウクライナ侵攻後に生じたロシア航空機関連の保険請求に端を発する保険訴訟において問題となった主要な法的および実務上の論点を検討するものである。具体的には、戦争危険(War Risk)補償およびその免責条項を含む、問題となる各種補償類型、実損補償と条件付補償(contingent coverage)の区別、裁判所が頻出する論点にいかに対処してきたか、専門家証人の活用、さらに匿名または非英語話者の証人が関与する訴訟に特有の困難性などについて論じる。
『再保険:最新動向と注目テーマ』
本パネルは、再保険の概要および現在の市場状況について概観するとともに、キャットボンド等の代替的リスク管理手法も取り上げる。あわせて、最近策定が完了した再保険紛争に関するモデル・コードである「再保険契約法原則(PRICL)」の検討を行い、さらに、近時の重要な裁判例を分析し、それらが再保険者および被再保険者に及ぼす影響について考察する。
『国際ビジネスリスク:引受および保険金請求の課題』
本プログラムは、国際保険プログラムの仕組みおよびその複雑性・精緻性について検討・分析するものであり、当該プログラムから生じる引受上および保険金請求上の諸問題も含めて取り上げる。具体的な論点としては、マスターポリシー、ローカルポリシー、ならびにDIC/DILポリシーを含むプログラム構造、多国籍請求における事故通知およびクレーム処理の在り方、さらに、各種・各層の保険契約に基づく請求の優先順位、支払時期および相互関係、ならびに相互に抵触または不整合を生じ得る紛争解決制度の問題などが含まれる。
『米国および世界の保険法団体の概要』
カクテル&ディナーレセプション
3月13日(金)人工知能と保険
『AIリスク、保険商品、規制・法的影響』
本パネルは、人工知能(AI)の急速な進展が、保険法および保険規制における中核的な諸問題をいかに再構築しつつあるかを検討するものである。登壇者は、AIが引受業務、保険金支払実務、ならびにリスク・モデリングにどのような変革をもたらしているかを分析するとともに、そこから生じる規制上および法的な含意について評価する。そこには、責任、透明性、消費者保護の交錯領域における課題も含まれる。さらに本討議では、保険者が価格設定戦略、補償設計、さらにはAIに起因する損失の発生頻度および損害規模の低減を目的とする、より積極的な措置を通じて、AIリスクをどの程度実質的に軽減し得るのかについても検討する。
AIDA U.S.について
AIDA U.S.は、国際保険法学会AIDAの米国支部であり、国内外の保険法の研究・発展を目的とする団体である。欧州、オーストラリア、メキシコ、英国、シンガポール、日本など各国の関連団体と連携し、国際的な保険法発展のための協働フォーラムを提供している。